プレゼントは難しい

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プレゼントは難しい

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2022/11/10 プレゼントは難しい

プレゼントの話

 

僕の誕生日は14日です。

 

正月生まれというのは家族以外の人から祝われることは滅多になく、プレゼントをもらうことは皆無でした。

 

そして僕の家族は合理的というかものぐさというか、小学3年以降のプレゼントがすべて現金になりました。

 

 

なので年末年始の小林少年は金持ちでした。

クリスマスプレゼントで現金、お年玉、親戚一同(その頃は親戚多かったなぁ笑)からのお年玉、そして誕生日プレゼントで現金。

 

おかげさまで約3万円の塗装用のコンプレッサーを買えまして、いまだ現役です。

 

 

 

なんならじいさんばあさんの旅行帰りのお土産も現金でした。

「変な漬物もらうよりお金の方が良いだろう」との理屈らしいのです。

 

そりゃ確かに現金は嬉しい。本も買えるしプラモも買える。ただ、ただね、何かが違うと思うよ…

 

 

 

それはさておき、プレゼントをもらうことなく大人になったらどうなるか。

 

プレゼントを選べなくなります。

 

 

プレゼントをもらう嬉しさが理解できない、というか現金以上に喜ばれるプレゼントを思いつけないので、他人に渡すものが浮かばないのです。

 

 

そりゃモテないわけだ。

 

 

 

 

そう。モテない男はプレゼントを選ぶべきではないのです。

 

ある時、10年前くらいですかね。

たまに飲みに行っていた店の周年だか店主といかママの誕生日だかがありました。

 

その店主は美人で有名で、界隈の男どもを虜にしていたのでした。

 

 

その店には会社の先輩と通っていました。

なので二人でお祝いのプレゼントを買いに行こうとなるのは極めて自然な話でした。

 

 

 

まずはなにを買うのかを決めなければならない。

僕と先輩は第三モッキリセンターに入り、ビールを飲みながら考えました。

 

 

なにも浮かばない。

 

びっくりするほど浮かばない!

 

先輩もプレゼントをもらわない&あげたことない人間でした。

 

 

そうだった、先輩もモテない男だった。

 

 

なにも案がでない人間が話し合ったところでなにも決まるわけありません。

 

00を足しても0なのです。

 

それでも必死にあがいて、あーでもないこーでもないを繰り返し、ビールもおかわりするというのは、ただのいつも通りの飲み会ではないのか。

 

ただでさえダメ人間の烙印を押されていることで有名な二人です。

もう体中に印まみれで耳なし芳一状態であることも認識していました。

 

「いっそプレゼントはいらないのでは…?もうこのまま二軒目に行こうよ…」

という考えが僕らを支配しようとしていました。

 

 

しかしその時の僕たちは違ったのです。

「ダメだ、このままじゃダメだ!とりあえずハンズなりロフトなりに行かないとダメだ!」

どちらともなく決意し、僕たちは店をあとにしたのです。

 

 

 

 

 

そしてたどりついた東急ハンズ。

 

1階からくまなく見ていきます。

「旅行グッズは?」

「いや、旅行する人なのか知らない」

 

「洗濯グッズは?」

「家事は人ぞれぞれだから難しくね?」

 

「文具盛り合わせだ!」

「…欲しい?」

「…迷惑ですね」

 

「グラスじゃね?」

「いや、1個だと店で使えないし、ペアで買うほどやさしくはなれない」

 

 

なーーーーんにも決まらない!

 

 

これを読んでいる人の中には気づいている人もいると思います。

 

 

そもそもプレゼント買うのに東急ハンズは正しいのか?

というか日本酒買って持っていけばいいだろう!

 

 

ですよね。

そう思います。でも僕たちは真剣に考えた結果として東急ハンズに向かったのです。

なぜならモテない男だから‼‼‼

 

 

 

そんなモテない男二人が真面目に考えて、考えに考えて、これなら喜んでくれるだろうと信じて買ったものが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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缶切り。

 

 

どうしてそうなる!

 

どうかしてるぜ!

 

なぜ自信満々に缶切りをプレゼントする発想になるのだ!

 

 

「缶切りは使うな。ないと困るもん。これ、栓抜きにもなるし。これは嬉しいに違いない」

 

 

 

ばかやろう。

 

モテない、モテないはずだよ。

 

日本中を見渡しても缶切りをプレゼントする男はいないって!

缶切りも贈り物にされたことないって!

 

 

しかしモテない男二人は意気揚々とハンズを出て南郷7丁目に向かったのです。

 

 

 

駅から歩くこと10分ほど。店の前に着きました。

 

 

僕と先輩はおもむろにマスキングテープを取り出し、自分たちを一つにまとめるようにグルグル巻きにしました。

 

 

そして入店。

 

「おめでとうございます!僕たち自身がプレゼントです!」

 

 

 

 

あの時のママの顔たるや。

 

 

「まぁ冗談です。改めておめでとうございます。とりあえずビールください」

 

 

 

ママとも乾杯をし、一息ついた時です。

 

 

「さっきはふざけてすいませんでした。本当のプレゼントがあるので、これをどうぞ」

 

出荷時の薄い段ボールの箱に入ったブツを渡しました。

 

「え、ありがとう!そんな気遣いいらないのにー!」

 

喜ぶ、喜ぶぞ!缶切りは喜ぶだろう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………缶、切り…?あ、ありがとう………」

 

 

あの時のママの顔を忘れない。

女性をあんな顔にさせてはダメだと誓いました。

 

 

 

 

プレゼントに缶切りはやめましょう。

 

もっと適した何かがあるはずです。

 

 

 

 

 

 

おわり。

 

 

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