金玉にブツブツができた話

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金玉にブツブツができた話

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2022/11/08 金玉にブツブツができた話

暇なのでブログでも書きましょうか。

 

この話は店でもすることが多いので、知っている人も多いかと思います。

 

 

大学4年生の時でした。

 

左金玉にブツブツができたのです。

 

それは日に日に広がっていって、1週間を過ぎると太ももまで伸びてきました。

 

そうなるとブツブツ同士が擦れてしまって痛いことこの上ない。

 

歩くのも苦痛になりました。

 

その頃の僕は実家近くのセブンイレブンでバイトをしていました。

 

「いらっしゃいませー」「あがとうございましたー」なんて平然と言っている店員がまさか金玉にブツブツがあるとは思うまいと考えてはニヤっとしていましたが、

いかんせん通常の業務に支障が出るほど痛いのです。

 

しかし場所も場所。

 

これは泌尿器科なのでしょうか、皮膚科なのでしょうか。

 

困った私が相談できるのは母しかいませんでした。

 

当時付き合っていた彼女はいましたが、まさか彼氏から「金玉にブツブツが…」と言われて冷静を保ってくれるのか不安が残ります。

 

もしも私が彼女から「お股にブツブツが…」と言われたら真っ先に浮気を疑います。

 

当然ながら私は浮気なんぞしていませんでしたが、無用な心配はかけられません。

 

 

母に素直に言うと「……皮膚科、じゃない?」と。

 

その言葉を信じて栄町のダイエー横にある皮膚科の門をくぐったのです。びっこひきながら。

 

 

診察室に入ると、女医さんでした。二人いる看護師さんも女性でした。

 

「どうされましたか?」

女医さんの声は、マリアなのか薬師如来様なのかよくわからんが、とにかくこの人は優しいに違いないと確信を得るには十分すぎるほどの慈愛に満ちた甘い声でした。

 

 

「金玉にブツブツが…」と私が口にしたとたん、マリアの顔はユダを疑う使途の顔になり、薬師如来の顔は不動明王になりました。

 

 

「とりあえず見ないといけないので、ベッドに横になって脱いでください」

女医さんはやたら事務的な声になって私に命令してきました。

 

いわれるがまま横になり、パンツを脱いでインリン・オブ・ジョイトイも驚くM字開脚をしました。少しの羞恥心を持ちながら。

 

 

私の金玉を一目見た瞬間、女医さんの時間が2秒ほど止まったのを明確に記憶しています。

そして一言

「え……帯状疱疹…」と。

その声は優しい声でも事務的な声でもなく、素の、なにも取り繕わない、心から出た独り言のようで、女医さんの生来持ち合わせた声でした。

 

 

女医さんを囲んでいた看護師さんもそれぞれ心底不思議そうな、道端にコンドームが落ちていたのを見つけたような顔をして私の金玉を見つめています。

 

 

「薬、か。そうだよね、ヘラ持ってきて!………あ、き、木ベラ!」

 

一度人間に還ってしまった女医さんが、自分は医者だと再確認するようにして看護師に命じました。

 

こちとらステンレスのヘラだろうが木ベラだろうがどうでも良いのですが、女医さんの心の中では金玉には木ベラなのでしょう。

 

なんでしょうか、この気遣い。

 

たぶんこの人は本当に優しいのでしょう。

この金玉への扱いは、おそらく夜の生活でも同じなのでしょう。

 

 

この話をすると、「勃たなかったの?」と聞かれますが、なんだこれ?という状況に混乱してそれどころじゃありませんでした。むしろ縮み気味だったと思います。

 

 

さて薬が塗り終わったようです。

 

「ガーゼ!…………ガーゼ…え、どうしよう」

女医さーん、また素に戻ってるから!戻ってきて――!

そりゃ金玉をガーゼに包んだことなんてないだろうさ!

それはここにいる全員がそうだよ!

 

看護師さんなんてちょっと笑いそうになってんじゃん!

 

 

三人がかりで金玉をいじくられながらなんとかガーゼを巻いてくれました。

私の人生で女性三人に金玉を触られるのは最初で最後でしょう。

 

こうして私はパンツを履き、一週間分の塗り薬を処方されて病院を後にしたのでした。

 

 

 

 

めでたしめでたし…なんてなるわけがありません。

 

今度は私が自らの金玉に薬を塗り、ガーゼを当てないとならないのです。

 

 

帰宅し、母に事の顛末を話すと大いに笑われました。

 

そうこうして晩御飯を食べ終えた私は塗り薬を手にし、母に別れを告げて自室に入りました。

 

パンツを脱ぎ、薬を塗るのです。

 

女医さんと看護師さんが四苦八苦して当ててくれたガーゼを剥がして、改めて患部を観察します。

 

金玉から伸びた帯状疱疹は太ももの付け根から5cmほどまで伸びていただけではなく、肛門まであと少しのところまで成長していたのです。

 

とりあえず太ももに薬を塗り、金玉へと手を伸ばします。

 

 

 

金玉を裏返して塗る。塗る。

 

塗れない。

桃尻の谷間が邪魔なのです。帯状疱疹は桃尻の谷間の最奥部まで伸びていました。

 

部屋にあるソファのひじ掛けに片足を乗せ、まるで港で船止めに足を乗せて黄昏る旅人のような姿勢になったところでも塗れないのです。

旅人は遠い目をして悠久の水面を見るのでしょうが、私は苦悶の表情で自らの金玉裏を覗き見るのです。

 

 

 

困った。

 

21歳の小林青年は下半身すっぽんぽんで立ち尽くし、悩みました。

 

 

こうなると頼めるのは一人しかいません。

 

 

 

 

とりあえずパンツを履き、ひとつ大きな息を吐きました。

 

そして部屋を出、居間に向かったのです。

 

 

 

 

もう母に頼むしかありません。

 

「母さん、塗れないんだ。お尻のところが」

 

あの時の母の顔がまさに鳩が豆鉄砲くらった顔なのでしょう。

「まじで?私が?」

という顔でした。

 

 

しかし母は強しというように、息子の陰部のピンチに立ち向かってくれたのです。

 

「…わかった」

 

ソファに座る母に尻を向けて立ち、パンツを下したのです。

 

 

 

「あーー、これはひどい」

 

息子の陰部をのぞき込んで母がいいました。

 

母に尻をみせるなんぞ、小学校の時に座薬を入れてもらった以来です。

「母さん、僕も大人になったんだよ」

なんてふざけたことも言えません。

 

 

母はまず私が届かなかった太ももの部分を塗ってくれました。

 

 

そして一言。

「いくよ」

と。

 

 

 

母は金玉の裏側、肛門へと続く部分を塗ってくれたのでした。

 

 

恥辱!!

 

 

生まれてからこの方ずっと玉の子のように育てた息子の玉を見、肛門を見、そこにできたブツブツに薬を塗ることになった母の気持ちはわかりません。

 

ただ息子としては、この母に生まれてよかった、しかし情けないの感情が心を渦巻き、ブレイクダンスしていました。

 

 

パンツを上げた私はまた部屋に戻り、金玉にガーゼを当てました。

 

 

私にしても金玉は大切です。

 

三次元のストレッチを謳う作業着のように折り目をつけて金玉を包み込みました。

 

 

 

 

 

そして居間に戻って「終わったわ」と告げると、「それは大変だね」と母はなにもなかったかのように、最初に私が部屋に行ったままの姿勢でソファに座って言ってくれました。

 

 

 

 

翌日からは鏡を使えば薬はうまく塗れることを発見し、すべて一人で処理することができました。

まぁ、その鏡は母が毎日の化粧に使っているものなのですが。

 

 

 

 

 

繰り返すこと一週間。ブツブツは明らかに減り、再び女医さんのもとを訪ねて金玉を見せたところ、これ以上の通院は必要ないとのお墨付きをもらえました。

 

 

ただ一つ忠告されました。

 

「帯状疱疹は免疫力が落ちたり、強いストレスがかかった場合に再発します。その際は同じ部位にできます」

 

「え、また金玉ですか?」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

というわけで私は左金玉に爆弾を持って今日も生きています。

 

 

長々と失礼いたしました。

 

終わり。

 

 

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