かつおを拾ったときの話

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かつおを拾ったときの話

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2023/01/17 かつおを拾ったときの話

かつお、二番目の犬ですね。

シェットランドシープドッグなる立派な名前の犬種ですが、いかんせんシャクレていて間抜けな顔をしているので「かつお」がしっくりきます。

 

 

かつおと出会ったのは4年ほど前の極寒の日でした。

たしか最高気温が-8度とかの寒波がきていた時ですね。

 

午前1時すぎ、少し前に退店したお客さんから電話がきました。

 

「公園に犬がいる」と。

 

 

 

そんなバカな。私が子供のころならまだともかく、この令和の世の中において野良犬などと。

 

ただ冬も冬、寒波の夜です。放っておいてもその犬は朝日をみることはできないでしょう。

 

 

ちょうどその時は妻が店にいて、車だったのです。(もちろん飲んでないよ)

 

妻にお願いして捕まえに行ってもらいました。

 

数十分後、戻ってきた車の中にはボサボサで犬臭むんむんのシェルティーがいました。

 

なんでシェルティーやねん。お前、めちゃくちゃ大切にされる犬種やんけ。

そう思いました。

 

 

しかしそのままにしておくのも困ったもので、その日は警察に届けて終わりました。

 

 

 

 

それから数日が経ちましたが、飼い主が名乗り出たとの知らせはありませんでした。

 

保健所に移送されたと聞いたので妻とともに様子を見に行きました。

 

 

保健所のおばちゃんに自分たちが保護した旨を告げると、基本的なしつけができていることや散歩もできていることなどの近況を教えてもらいました。

 

「大切に育てられた気配があるのに、引き取りに来ないのは不思議だねぇ」とはおばちゃんの言葉です。

 

その後、妻だけでもう一度保健所に様子を見に行きました。

 

 

 

もし飼い主が名乗り出たらそれが一番だけど、譲渡可能になったら私たちで引き取ることを決めていました。

 

 

 

そして譲渡可能になるその日です。

 

 

保健所のルールとして、譲渡可能になった際に希望者が複数人来た場合は「原則」としてくじ引きによる抽選になるとのことでした。

 

 

私たちが住んでいるアパートは中型犬を飼うには十分と言える大きさではありませんし先住犬もいるので、もし複数人が希望者としていたら運に身を任せようと考えていました。

 

 

まぁなにがなんでも飼いたいわけでもないですし、シェルティーにしても戸建てで庭もあって、さらに私たちより裕福な家に行った方が幸せに違いありません。

 

 

 

 

運命の午前9時。

 

 

私たちの他に2名の譲渡希望者がいました。

 

 

どちらも女性で、歳は50代ころ。

 

「あぁ、これは身を引いてもいいかな」

そう考えていました。

 

 

 

保健所に入ると、あのおばちゃんがいて「来てくれたのね!でも抽選になるかも」と。

 

 

希望者が揃うのを待ちます。

 

 

一人が入ってきました。

 

 

おばちゃんはその人に聞きました。

「シェルティー希望ね?飼ったことはあるの?」

 

希望者は答えます。

 

「以前飼っていて、15歳で死ぬまで看取りました。その時のものが残っているので、不自由なく育てられます」

 

 

めっちゃいい条件!もうその人のところに行った方がいいよ!横で聞きながら心底思いました。

 

 

おばちゃんは希望者の答えに応じます。

 

「そうなの。でもね!この人たちは拾った人たちなの!拾って、警察に届けて、ここにも2回も様子を見に来て!引き取ってもいいって言っているの!どうなの?覚悟はあるの?」

 

 

やーめーてー。

抽選でいいからー。

 

 

「私ももう一度シェルティーを飼いたいです。家も一軒家で庭もありますから」

 

 

「でもね、あなたはここに様子を見に来たの?この人たちは気になるって言って2回も来ているのよ?覚悟が違うの!

前に来た時に、先住犬も保護犬だと聞いたわ。あなたはシェルティーがいいと言っているけど、一度捨てられた犬を飼うことはできるの?

長いこと保健所にいるけど、ここまでの人はなかなかいないのよ。それでもあなたが譲渡を希望するなら抽選になるわ!どうなの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………辞退します」

 

 

 

 

ええええええええぇぇぇぇ。

 

おばちゃん…圧が強すぎるよ……

「辞退するのね?わかりました」

 

 

そう言い終わると、おばちゃんは次の希望者に照準を合わせました。

 

「はい、次の人。話聞いていたと思うけど、あなたはどうなの?抽選を望むの?

この人たちよりもシェルティーを飼いたいという気持ちはあるの?どうなの!」

 

 

 

 

 

 

「………私も辞退します」

 

 

 

 

 

いやいやいやいや。

 

 

抽選って…抽選になるっていったじゃん。

 

おばちゃん、そりゃないよ!かわいそうじゃん!

 

たぶん庭がある家にいった方がいいって!!!

 

 

 

おばちゃんは私たちの方を振り向くと、満面の笑みで言いました。

 

「みんな辞退したから、シェルティーはあなたたちに譲渡になりました!よかったね!

 

 

良くないよ!!

 

 

 

 

 

 

「原則」抽選って、おばちゃん、あんたの匙加減やんけ。。。

 

 

希望者だった一人が話しかけてきました。

 

「幸せにしてあげてね。シェルティー、いい犬だから…」

 

いや、泣いてるよ、この人。

 

さぞ飼いたかったのだろうさ。たぶん私たちよりも飼いたかったと思うよ。

 

 

「えぇ、まぁ、はい」

 

それくらいしか応えられないよ!!

 

いや、なんかもう、ほんと、ごめんなさい。

 

 

 

 

 

微妙な笑顔で佇むしかできない私たちにおばちゃんは上機嫌で

「みんな辞退したの。シェルティーはあなたたちがふさわしいってみんな納得したのよ。

これから譲渡の手続きに入るから、事務所にきてね!」

と、なんならウインクでもついてきそうな顔で伝えてきました。

 

 

 

 

 

事務手続きを終えてかつおを車に乗せての帰り道、

「かつお、お前は、お前が来るところはうちでいいのか?」

聞いてみました。

 

 

かつおは「とりあえずここどこですか」という不安な顔しかしませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時が経って約4年。

 

 

私たちは2LDKの家から引っ越し、いまは妻の実家にいます。

 

かつおは今日も楽しそうに生きています。

 

私たちの下に来なければ、かつおはたぶんお洒落な名前になっていただろうに…

 

 

 

 

 

おばちゃん、これで良かったのかい?

 

 

 

 

おばちゃん!これで良かったんだろ!!!

 

 

 

 

 

 

 

みなさんも保健所から犬を引き取りたいと思ったら、まずはそこに行ってみてください。

 

 

 

でないと「原則」抽選になりますから!!!!!!

 

 

かつお、かわいいぜ。

 

 

 

 

犬は買うものではありません。

 

犬は落ちています。

 

 1673868545384

 

 

 

 

 

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